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神戸を中心とした関西でオールロケ そこに込められた思いとは

1月31日(土)公開『繕い裁つ人』 三島有紀子監督にインタビュー

 町の仕立て屋の日々を描いた池谷葵さんの同名人気コミックの実写映画化『繕い裁つ人』が1月31日(土)に公開される。
 心にやさしい明かりを灯す感動作『しあわせのパン』、第38回モントリオール世界映画祭特別招待作品となった『ぶどうのなみだ』などで、世界でも高く評価されている三島有紀子監督。『繕い裁つ人』は、仕立て屋の店主を主人公に着ることと生きることの切っても切れない関係を、温かさの中にも厳しさと切なさを込めた眼差しで繊細に描かれている。そしてロケ地にもこだわり、三島監督たっての希望で神戸を中心とした関西で撮影された。
 そんな最新作『繕い裁つ人』に込めた思い、そして神戸へのこだわりについて三島監督に話を聞いた。

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『繕い裁つ人』に込めた思い、そして神戸へのこだわりについてインタビュー

ー『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』に続き、職人をテーマにした映画が続いていますが、仕立て屋の物語『繕い裁つ人』の映画化が決まった時の心境はいかがでしたか?

父が着るスーツは全て神戸のテーラーで誂(あつら)えて、それを生涯ずっと大切に着ていたということが影響しているのかもしれないんですけど、元々「仕立て屋の映画を作りたい」という思いがありました。オリジナルストーリーを書いたりもしていたんですけど、そんな時にこの池辺さんの原作に出会ったんですね。読んでみたら、初代の祖母から店を継いだ2代目店主・市江がとても魅力的で「市江に寄り添いたい!」って思ったんです。頑固じじいと言われるほどこだわりが強くて、自身が持っている最高の技術を提供したいと全身全霊で物を作る、その職人としての姿勢に「素敵だな」って思いました。そして市江は、その人の一番大切なものは何かを深いまなざしで見つめ、言葉にせずに静かに汲み取って、服を仕上げていく…そんな内面と向き合っているところに尊敬して「市江の人生を旅したいな」って思いました。

ーそんな市江を実写化する上でキャスティングに苦労されましたか?

私は中谷美紀さんを映画『BeRLiN』で知ったんですけど、その時に「なんて湖面のような美しい人なんだろう」って思ったんですね。澄みきってるだけじゃなくて、龍が飛び出してきそうな雰囲気もあって…。そういう神秘的な美しさを持ってらっしゃる中谷さんといつか仕事をしてみたいと思っていました。市江は職人としては完璧なんですけど、仕事以外は不器用で何もできないという、その「完璧さとほころび」が撮りたかったので、完璧なイメージのある中谷さんにそのギャップをぜひ演じて欲しいと、お願いしました。そして、市江を演じていくうちに中谷さん自身のほころびも少しずつ見えてきたら、より市江は魅力的になると確信していました。中谷さんとは役者と監督、というよりは戦友の様な関係で。この作品を一緒に作りあげることができて本当に幸せでした。

ー神戸でたくさんロケを行っていますが、その中でいくつかこだわったポイントを教えてください。

この作品を撮影するのは「神戸しかない!」という思いがあったので、無理を言って実現させてもらいました。喫茶店・サンパウロは、ロケハンしている時にここでみんなでチーズケーキを食べながら「こじんまりしてて居心地いいよね」って話してて。この雰囲気のある木彫の感じが特に気に入りました。市江は職住一体なので外に息抜きが出来る場所が必要だと思ってて、その場所にぴったりでした。西宮にある「ヨシムラ洋服店」は、映画の中で出てくるテーラーの設定と条件が同じだったことがポイントですかね。先代がいて現在営んでいるのは3代目、以前はたくさんの従業員がいたけど今は1人で経営している。そういう歴史が似てるということは、その建物の佇まいも自然と似てくるので「ここだ!」と思いましたね。神戸女学院の図書館は、私の出身校だということもあり、今まで図書館では撮影が行われたことはなかったんですけど、直談判でお願いしました。ロケ地は全て“この映画が一番輝く場所”になるように探したんですけど、心のどこかで「神戸のこの光景を残したいんだ」という思いはあったんだと思います。この街がなかったら生まれなかった映画でした。

ーサンパウロで市江(中谷美紀)が食べる「チーズケーキ」と、家で市江の母(余貴美子)が食べる「だんご」が重要なシーンとして使われていますが、チーズケーキとだんごを選ばれたのには理由があったんですか?

池辺先生が書いてらっしゃる原作本の最後のページに、市江がチーズケーキを食べているシーンが描かれていたことがきっかけです。あとは、「神戸と言えばケーキがすごく美味しい」というイメージが私の中であって。市江は神戸の街で育って、洋裁をしていて洋風の世界にいる人なので、チーズケーキが合うかなと思いました。市江の母にだんごをチョイスしたのは、天才と呼ばれた洋裁師の娘として生まれたのに同じ道を選ばなかったという意味で、洋風とは真逆の和風で、着物を着てだんごを差し出す、という演出にしました。

ーちなみに、三島監督は「チーズケーキ」と「だんご」、どちらがお好きですか?

私はどちらも好きです。市江はチーズケーキをホールのまま食べていますが、私もたまにやります。割とぺろっと食べてしまいます(笑)。

ー今では「仕立て屋」がどんどん少なくなっていますが、若い世代にこの作品を見て何を感じて欲しいですか?

この作品を見てどう感じるかやどう思うかはその人に委ねたいですが、今の時代、安い服が簡単に手に入りますよね。そして簡単に捨てて、新しい服を買う。ここでしか買えない、この人にしか作れないという物がだんだん少なくなってきている中で、「丁寧にこだわりを持って作られたものを大切に使う」という気持ちは大切かなと思います。今回衣装を手がけてくださったのは、数多くの舞台や映画でご活躍されてらっしゃる伊藤佐智子さんなんですけど、実は中谷さんが「衣装は伊藤さんにお願いしてみてはどうか」と提案してくださったんです。私もこの作品で伝えたいことと同じ思いでいらっしゃる伊藤さんにぜひお願いしたいと思い、依頼しました。「服は魔法である」とおっしゃってた伊藤さんの言葉が、この作品ができあがって「本当にそうだなぁ」って心から思いました。

ー撮影後に神戸に対する思いの変化はありましたか?

小さい頃から親しみがあるので、元々愛している街なんですけど、この街の美しさだったり、異国の文化がしっかり溶け込んでいる感じだったり…独特なオリジナルの素晴らしさを改めて感じました。震災の時に失ったものってやっぱりすごく大きくて。ロケハンの時、高台から神戸の街を見渡して、震災の時の光景を鮮明に思い出しました。20年経った今、ここまで復興したことが神戸の人たちの力強さと誇り、そして粘り強さを深く感じました。

写真

詳細情報

タイトル
『繕い裁つ人』
公開日
1月31日(土)
監督
三島有紀子
脚本
林民夫
原作
池辺葵『繕い裁つ人』(講談社『ハツキス』連載)
キャスト
中谷美紀、三浦貴大、片桐はいり、黒木華、杉咲花 ほか

Kiss PRESS編集部

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