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ウーマンリブvol.14『もうがまんできない』より宮藤官九郎にインタビュー

宮藤官九郎さんが作・演出を手掛ける「大人計画」の劇団公演「ウーマンリブ」シリーズ。5年ぶり、待望の新作となるvol.14『もうがまんできない』大阪公演が5月9日から21日までサンケイホールブリーゼ上演される。現代を生きるストレスを抱えた人々の群像劇を描く本作に込めた想いを、宮藤さんに語ってもらった。

大河ドラマとは全然違う
すごく新鮮というか懐かしい感覚

―2015年のvol.13『七年ぶりの恋人」以来、約5年ぶり。このタイミングで公演に至った理由は何でしょうか?
昨年のNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(脚本担当)が終わったあと「まず一つ目に何をやろう?」と考えた時に「ウーマンリブ」がいいんじゃないかなぁと。20年前から始まったウーマンリブは僕の原点というか、当時はそこでしか発表する場がなかった。他の仕事が忙しくなってきて5年も空いてしまったので、自分でもやりたくなっているだろうなという予想もあって。今回実際に書いてみて、アウトプットの仕方が、当たり前だけど大河ドラマとは全然違うので、すごく新鮮というか懐かしい感覚です。

―ウーマンリブは宮藤さんが今やりたいことを自由に表現するシリーズになりますが、今回はどんな作品になるのでしょうか?
世の中にはいろんな便利なものが溢れているのに、生きにくいというか、人々のストレスはあまり減ってないなと最近思っていて。街中でスマホを出してゲームしている人たちを見て、何の接点もない人たちがそこにいるっていうだけで物語が始まったら面白いなと、この物語を考えました。それぞれの「我慢できない」という感情が交錯する2時間、時間を飛ばしたり、場面転換をしたりせず、その場で初めて会った人たちでどれだけ魅せられるかを今回はチャレンジしようと思いました。皆さんの生活の延長線上にあるような世界観でお芝居ができたらといいなと思っています。

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―同シリーズでは、“他ではできないこと”を常に意識されていますか?
ウーマンリブが始まった1996年頃、(大人計画・主宰の)松尾(スズキ)さんの演出助手をやっていて、松尾さんが作家性の強い公演を立て続けにやっていたので、僕は役者一人ひとりの面白さで見せる公演をやりたい、うち(大人計画)の役者に、松尾さんとは違う光の当て方をしたい、と自分の中で差別化しました。その思いは今も変わっていません。シリーズ名は、当時僕の脚本は女優さんからの評判が悪かったので宮崎吐夢くんから「宮藤さんは女性のこと何にもわかっていないから『ウーマンリブ』って名前にして女性のことをちょっとは考えてみたらいいんじゃないですか?」と言われてそう名づけました。ドラマや映画など他の仕事と違って、ウーマンリブは常に自分発でやっているので、内容は必然的にその時に興味があること、やりたいことになります。毎回バラバラのテーマですが、vol.10『ウーマンリブ先生』くらいからは“ウーマンリブ(女性解放運動)”という言葉の意味に近づいている気がしますね。宮﨑あおいさんが出演してくれたvol.12『SADSONG FOR UGLY DAUGHTER(サッドソング・フォー・アグリードーター)』は、今思えば自分が親になったからこそできた作品だなと思います。

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「何でこんなにイライラしているんだろう?」
「あ、携帯を持っているからじゃん」

―宮藤さんが生きづらさを感じた瞬間を教えてください。
まずは消費税ですね。店で食べるか、持って帰るかで消費税が変わって、買う時に決めなきゃいけない。あとはファミレスの24時間営業がなくなって。映画もシネコン(複数のスクリーンがある映画館)が増えて、観たかった作品の上映期間が短いとか。「何で携帯の充電が切れただけで、こんなにイライラしているんだろう」「あ、携帯を持っているからじゃん」みたいな。そんなことに気付くきっかけになるといいなと思います。「何でこうなっちゃったのかな」と思うことがそれぞれにある中で、この作品を観て「私だけじゃなかったんだ」って思ってもらえると嬉しいですね。その気付きがあれば、世の中のストレスが多少改善されるのかなと思います。

―大人計画の主宰・松尾スズキさんや看板俳優・阿部サダヲさんのほか、柄本佑さん、要潤さん、宮崎吐夢さんら個性豊かなキャストが揃います。
ウーマンリブの場合は簡単なストーリーを先に作って、役者を決めて当て書きをすることが多いです。今回はシチュエーションから入ったので、ここにどんな人がいたら面白いかなというので考えていきました。舞台では初めてご一緒する佑くんと要潤さんはお笑い芸人の役。ライブ劇場の屋上を舞台に、本番直前という時間軸で始まって、自分たちの出番を待っている間にお互いの「もう我慢できない」という感情が爆発して…。その場にたまたま居合わせた、ストレスを抱えた人たちがその2人にちょっかいを出したり出さなかったりして物語が進んでいきます。

―脚本から稽古を重ねて変わっていく部分もあるのでしょうか?
稽古場では役者さんから生まれるものを拾って変えていきますが、本番が始まったら、基本アドリブは無いかな。阿部くんとか松尾さんとか勝手にやっているように見えるかもしれないけど、割とちゃんとやってくれるんです(笑)。今回、自由時間を作るのは、荒川(良々)くんくらいですかね(笑)。30年近く一緒にやっている人たちとは本来稽古はいらないと思うんですけど、それでもやるのはその期間にどうすればこの役が面白くなるかをそれぞれが考える贅沢な時間になるからです。

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―セットや演出についても少し教えてください。
まだ詳しくは言えませんが「何でこうしたの?」と思われるようなセットになっています。なるべく動けない構造、動かなくても成立する装置にしました(笑)。若い頃はあれもやりたいこれもやりたいといろんなものを詰め込んでいましたが、最近はミニマムな世界や、制約もいいなと思ったりして。お客さんの方を見ない、踊ったり歌ったりしない舞台があってもいいんじゃないかなと思うんです。今秋上演のパルコ・プロデュース「ねずみの三銃士」が派手になると思うので、こっちはミニマムな空間がいいかなと(笑)。

演劇を観たことがない若い人たちにも見て欲しい

―本作では、22歳以下はお得に観覧できる「ヤング券」も発売されます。
この作品を書く時に、SNSが普及してから新作を書いていなかったことに気づいて。舞台の小道具としてスマホを使ったことがないんですよ。スマホゲームもやったことがなかったので「これはまずい!若い人についていかなきゃ!」とやってみたのですが、全然楽しめなくて(笑)。面白いところまでいけていないんでしょうね。その他にも若い人にたちがやっていることを色々と試しています。僕は20代の頃に下北沢で、安い値段でお芝居を観てそれで人生が変わった人間なので、今の若い世代が演劇を観ないことは切実な悩みです。演劇を観ようと思うとチケットが1万円以上もしたり、上演時間が3時間半と長かったりと敷居が高く…僕が昔好きだった演劇はそうじゃなかったなと。ウーマンリブでは料金も少し安くして上演時間も2時間にしているので、演劇を観たことがない若い人たちにも見て欲しいですね。阿部くんとか松尾さんとか、映像でも活躍していますが、ぜひ舞台での演技を観ていただきたいです。

ウーマンリブ vol.14『もうがまんできない』

現代を生きるストレスを抱えた人々の群像劇を2時間ノンストップで描く。

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大阪公演 公演中止
詳細は公式サイトをご確認ください
会場 サンケイホールブリーゼ(大阪市北区梅田2丁目4−9 ブリーゼタワー7F)
料金(全席指定・税込) 前売・当日7,500円
ブリーゼシート6,000円(バルコニーからの観劇)
ヤング券3,800円(22歳以下/チケットぴあのみ取扱)
※未就学児童入場不可
購入 各プレイガイドより
作・演出・出演 宮藤官九郎
出演 阿部サダヲ、柄本佑、宮崎吐夢、荒川良々、平岩紙、少路勇介、中井千聖、 宮藤官九郎、要潤、松尾スズキ
問い合わせ キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00〜18:00)
公式サイト http://otonakeikaku.jp/stage/2020/womens14/

宮藤官九郎 Kankuro Kudo
1970年生まれ、宮城県出身。91 年より大人計画に参加。脚本家、監督、俳優、ミュージシャンなどでも活躍。02年に映画『GO』で第25回日本アカデミー賞最優秀脚本賞などを受賞、05年に舞台『鈍獣』で第49回岸田國士戯曲賞、ドラマ『ゆとりですがなにか』で第67回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。また、グループ魂では「暴動」の名でギターを務める。近年の脚本作品は【テレビ】NHK連続テレビ小説『あまちゃん』(13)『監獄のお姫さま』(17/TBS)『遠藤憲一と宮藤官九郎の勉強させていただきます』(18/WOWOW)、NHK 大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』 (19)、【映画】『謝罪の王様』(13/水田伸生)『土竜の唄香港狂騒曲』(16/三池崇史)、『パンク侍、斬られて候』(18/石井岳龍)、【舞台】『サンバイザー兄弟』(16/演出も)『メタルマクベス』(18/いのうえひでのり)。映画監督作品は『少年メリケンサック』(09)、『中学生円山』(13)、『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』(16)。俳優出演作品は【テレビ】『カルテット』(17/TBS) 、『コートダジュールNo.10』(18/WOWOW)、『コールドケース2 ~真実の扉~』 (18/WOWOW)、【映画】『ぼくのおじさん』(16/山下敦弘)、『幼な子われらに生まれ』(17/三島有紀子)、【舞台】『結びの庭』(15/岩松了)など。また、TBSラジオ『ACTION』で月曜パーソナリティーを務めている。本年はドラマ『コタキ兄弟と四苦八苦』(TX)に出演、10月上演のねずみの三銃士「獣道一直線!!!」の脚本を手掛ける。

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撮影:秀村安奈
取材・文:木下あづさ

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