―続編も期待されていますが、次があるとすれば「任俠〇〇」？
伊藤　「任俠デパート」とかどうですか！？お客さんが全然来ない、田舎のデパートを立て直すという。
西島　正直今はまだ続編のことは考えられないのですが、個人的には大阪の〇〇とかいろんな土地の何かを再生していくのとかいいなと思いますね。
葵　私は見習いとして登場したいです。
西島　ダメだよ（笑）！せっかく新しい一歩を踏み出したのに、阿岐本組に来られたらショックだよ。
葵　副業みたいな（笑）。次は赤いロングヘアで登場したい！

―古き良き人情コメディでありながらも「若い人にこそ観てほしい」と作品だとか。
葵　この映画の中で生徒たちが抱えているものは、私自身も学生時代を振り返ると共感できる部分がありました。全員善人のヤクザ・阿岐本組はファンタジーだけど、学校や生徒たちの現状は割とリアルに描かれています。若い世代特有の孤独感や何者にもなりきれない不安感とか、似た境遇にいる子たちも多いと思います。親でも先生でもなく、阿岐本組が予期せぬところからアプローチをして寄り添ってくれて、新しいヒーロー像だなと思いました。この映画を観に来ていただければきっと阿岐本組に救われると思います。
西島　居場所がないと思っていたり、傷ついていたり、そういう方に観ていただきたいです。何か救われる、浄化される部分があると思います。映画ではちひろたちと同じように「若い子の気持ちなんてわからない」と思っていた阿岐本組の大人たちも一歩を踏み出します。実際に触れ合ってみたら共感できる部分があって、お互いに高め合っていく。今の居場所に違和感を持っている大人の方にも観ていただけると、何か受け取っていただけるものがあると思います。
伊藤　僕も「本当にいい作品になったな」と思うので、この作品を一人でも多くの人に観ていただきたいです。たくさんの方に観ていただくことが結果として続編に繋がるのかなと思っています（笑）。

映画『任俠学園』

世間のルールは絶対守る！“全員善人”社会貢献好きヤクザ！？
困っている人は見過ごせない、義理と人情に厚すぎるヤクザ“阿岐本組”。組長（西田敏行）は社会貢献に目がなく、次から次へと厄介な案件を引き受けてしまう。今度はなんと、経営不振の高校の建て直し。いつも親分に振り回されてばかりの阿岐本組No.2の日村（西島秀俊）は、学校には嫌な思い出しかなく気が進まなかったが、“親分の言うことは絶対”！二之宮 稔（伊藤淳史）ら子分たちを連れて仕方なく学園へ向かった彼らを待ち受けていたのは、無気力・無関心のイマドキ高校生と、事なかれ主義の先生たちだったー。

公開日	2019年9月27日（金）
監督	木村ひさし
原作	今野 敏『任俠学園』（中公文庫）
出演	西島秀俊、西田敏行、伊藤淳史、葵わかな、葉山奨之、桜井日奈子 ほか
配給	エイベックス・ピクチャーズ
劇場（兵庫）	OSシネマズミント神戸 OSシネマズ神戸ハーバーランド TOHOシネマズ 西宮OS アースシネマズ姫路
公式サイト	https://www.ninkyo-gakuen.jp/

西島秀俊　Hidetoshi Nishijima
1971年、東京都出身。『居酒屋ゆうれい』（94）で映画初出演。『ニンゲン合格』（99）で第9回日本映画プロフェッショナル大賞・主演男優賞を受賞する。近年の主な映画出演作は『劇場版 MOZU』（15）『クリーピー 偽りの隣人』（16）『ラストレシピ 〜麒麟の舌の記憶〜』（17）『散り椿』（18）『人魚の眠る家』（18）『名探偵ピカチュウ（声）』（19）『空母いぶき』（19）など。

伊藤淳史　Atsushi Ito
1983年、千葉県出身。子役としてデビューし、『鉄塔武蔵野線』（97）で映画初主演。2008年に「チーム・バチスタの栄光」で連続ドラマ初主演を果たす。主な映画出演作は『フィッシュストーリー』（09）『ボクたちの交換日記』（13）『チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像』（14）『ボクは坊さん。』（15）など。『映画 ビリギャル』（15）で第39回日本アカデミー賞優秀助演男優賞、第25回日本映画批評家大賞助演男優賞を受賞。

葵わかな　Wakana Aoi
1998年、神奈川県出身。2009年にスカウトされてCMデビュー。17年、NHK連続テレビ小説「わろてんか」のオーディションで選ばれヒロインをつとめる。主な映画出演作は『陽だまりの彼女』（13）『くちびるに歌を』（15）『暗殺教室』（15）『サバイバルファミリー』（17）『逆光の頃』（17）『青夏 きみに恋した30日』（18）など。19年には「ロミオ＆ジュリエット」のジュリエット役でミュージカルデビューを飾った。

 

撮影：秀村安奈
取材・文：木下あづさ