それは、音楽なのか。

映画『LISTEN リッスン』

　「聾（ろう）者の音楽」を視覚的に表現したアート・ドキュメンタリー『LISTEN リッスン』が元町映画館にて8月20日（土）から9月2日（金）まで上映される。

　無音の58分間、言語はすべて手話で展開される本作は、耳の聞こえない聾者たちが楽器や音声は介さず、自身の手、指、顔の表情から全身までその肉体を余すことなく駆使しながら視覚的に「音楽空間」を創り出していく。複数の手話詩を交えながら「四季」を表現する初老の男性、木々のざわめきの中で風を歌う少女、波打つ浜辺で魂を叫ぶ女性、親密な愛情を共鳴させる夫婦…手話言語を通じて日常的に熟達した彼らの身体表現は「音楽とは」という問いのさらに奥深く、人の内面から滲み出る内なる“何か”へと迫っていく—。

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