東山焼など姫路藩の工芸とその美意識を偲ぶ機会に
姫路市書写の里・美術工芸館「姫路城ゆかりの工芸」
姫路市書写の里・美術工芸館(姫路市)で10月28日から、秋季特別展・姫路城世界遺産登録30周年記念「姫路城ゆかりの工芸 ―開窯200年の東山焼、寿ぎの高砂染を中心に」が開催されます。
1993年12月に姫路城が世界遺産に登録されて、今年で30周年。その歴史をさかのぼる江戸時代末期のこと、姫路藩は最大危機ともいえる大借財の返済に迫られました。難題を見事に解決したのが、4代の藩主に仕えて今も“寸翁さん”と呼ばれて愛される名家老・河合道臣(1767-1841)です。
起死回生戦略のひとつが、特産品による藩財政の立て直し。その契機は、文政5(1822)年に成立した、藩主忠実の養子・忠学と徳川将軍家斉の娘・喜代姫との婚約です。
姫の化粧料として得た木綿専売制をはじめ、高級贈答品としての松蔭柄を特徴とする型染の高砂染生産の推進、塩田開発や港の整備も行い、藍染や革細工、菓子などの生産を奨励して、海路などで京や江戸に運び財を得ました。

中でも、文政年間初期に試造が開始された「東山焼」は、当時最先端技術であった磁器生産の成功という画期的なできごとであり、姫路藩の存在感を世に知らしめました。東山焼開窯は文政5(1822)年12月に中嶋卓助が「陶所掛」になったとの記録(酒井家家中席順知行高名前書)から藩の運営が開始されて今年で200年を迎えます。
この記念すべき年に、地元の収集家による「鐵元堂コレクション」からの約60点と館蔵品を合わせて、東山焼や永世舎など姫路のやきものを中心に展観。
また、現在の姫路木綿復活の取り組みを紹介するほか、近年は「大奥御年寄瀧山日記」での記録が発見されて注目される高砂染、姫路革などの江戸時代から明治時代の工芸品、現存数が少なく貴重な播磨鍋といった姫路藩の工芸とその美意識を偲ぶ機会となります。

右:姫路革「紅革雲図障泥(馬具)」幅695㎜ 江戸時代 個人蔵
期間中は、スライドショー「姫路のやきもの」、講演会「姫路藩の特異性―”工芸王国”の背景」、体験教室「綿から糸を紡ごう!」などの関連イベントも行われます。
<記者のひとこと>
11月1日~30日までは、書写山ロープウェイの当日半券提示で入館料が半額に!また、11月18日と19日は「関西文化の日」として入館料無料で楽しめますよ。
詳細情報
- 期間
- 2023年10月28日(土)~12月24日(日)
※月曜、11月24日(金)は休館 - 場所
- 姫路市書写の里・美術工芸館
(姫路市書写1223)
GoogleMapで探す - 開館時間
- 10:00~17:00(入館は16:30まで)
- 入館料
- 一般 310円、大学・高校生 210円、中学・小学生 50円