今回は普段入れない「風見鶏の真下」に潜入!
長期休館まであと100日を切った『風見鶏の館』って、どんなところ?神戸市中央区
耐震改修工事のため、今年10月1日から長期休館に入る『風見鶏の館』(神戸市中央区)。その歴史や見どころを知らない人も多いのでは?長期休館まで100日を切った今、同館のすべてを徹底解剖します。
神戸のシンボルともいえる神戸市中央区の「北野異人館街」。中でも特別な雰囲気を放つのは、異人館街でも唯一のレンガ張りの外壁と、尖塔の風見鶏が特徴的な『風見鶏の館』です。
同館は明治42年頃、かつて神戸に住んでいたドイツ人貿易商ゴットフリート・トーマス氏が自邸として建てた建物。昭和53年に国の重要文化財に指定されました。
…といっても、どんな建物でどんな歴史があるのか、これだけ聞いてもわかりませんよね。でも同館には深い歴史と、現代へと結ばれた数奇な運命があるんです。
~一家の歴史~
ドイツから貿易商として日本にやってきたトーマス氏。1868年神戸港は開港し、トーマス氏を含む外国人たちは今の北野エリアに住むことになりました。
一生を過ごす家として、同館を建てたトーマス氏。1人娘のエルゼさんがドイツの学校に進学するのに合わせ、一時帰国のつもりでドイツへ向かった一家でしたが、ちょうどそのタイミングで第一次世界大戦が勃発。神戸に帰ることは許されず、そのまま館を後にしました。
その後、様々な用途で使われた館が脚光を浴びるきっかけとなったのは、NHKの連続テレビ小説「風見鶏」です。館の名前が同じであるなどといった共通点があり、同館をはじめとした異人館街が注目されることに。
そうして文化財保護の目的で整備されることになった同館。ついに一般公開されるという情報は海を渡り、主の住むドイツまで。そこでニュースを目にしたのは、一家の1人娘であるエルゼさんでした!
「私、ここ住んでたんですけど!」となったエルゼさん。そんなこんなでエルゼさんから様々な資料が提供され、今の同館があるというわけなのです。そんな歴史と思い出の詰まった同館。特徴的な部屋を巡ってみました!
~応接間~
入館してすぐの場所にあるのは「応接間」。シャンデリアや家具が豪華で煌びやかな印象です。トーマス氏が残した当時の応接間の写真をもとに復原されています。
異人館街にある建物は次々と住んでいる人が変わっているため、一番最初に住んだ人がどんな間取りで生活していたのか分からなくなる場合が多いんだとか。このように当時の写真が数多く残っていることは珍しく、異人館街の建物の中でも非常に少ないんだそうです。
~居間~
応接間から一歩出ると、高い天井が特徴的な「居間」へと続きます。なんだか舞踏会でも開かれそうな雰囲気。当時は多くの人をドイツから招き、この場所で立食パーティーなどのイベントが行われたそう。
他の場所より天井が高いのは、イベントの多くが立った状態で開催されていたからなんだとか。部屋の奥にあるスキップフロアは、座って休む人と立っている人の目線が同じになるよう計算されているんだそうです。
ここには長期休館前の100日限定で「風見鶏」のレプリカが!ここでは記念写真を撮ることができますよ!
~食堂~
こちらは招いた人と共に食事を楽しむ「食堂」。応接間や居間とはまた違った厳かな雰囲気が特徴的です。
同館の館長曰く、この食堂はトーマス氏の出身地コブレンツにある「シュトルツェンフェルス城」に似たデザインになっているんだとか。トーマス氏は遠く離れた故郷を思いながら、この食堂をデザインしたのでしょうか…。
~屋根裏部屋・秘密の〇〇~
記者は客用寝室やエルゼさんの部屋のある2階を見学した後、特別な場所を見せてもらえることに!細い階段を上ると…。
広がるのは屋根裏部屋。暗くて暑いですが、屋根裏部屋とは思えない広さに驚きです。
さらに進むと、奥には扉が。
なんとこの場所、同館のシンボル「風見鶏」の真下なんです!普段は外からしか見ることのない場所ですが、意外と広い空間が広がっています。
風見鶏は警戒心が強いことから「魔除け」の意味も持ち合わせているんだとか。「風見鶏の下で、お祈りしてみては?」という館長のすすめで、美しい景色を眺めながら手を合わせてみました。なんだかパワーを感じる…。貴重な経験となりました。
『風見鶏の館』、ただの綺麗な建物じゃない!館について知った後に訪れたならば、その思いと歴史の深さをさらに感じられることでしょう。耐震工事は10月1日から、次の開館は2025年4月の予定となっています。ぜひこの機会に足を運び、神戸のシンボルを胸に刻んで!
詳細情報
- 場所
- 風見鶏の館
(神戸市中央区北野町3-13-3)
GoogleMapsで探す - 時間
- 9:00~18:00(入館は17:45まで)
- 長期休館期間
- 2023年10月1日(日)~2025年3月31日(月)まで(予定)
- 入館料
- 大人 500円
2館券(風見鶏の館・萌黄の館)650円
シティーループ1日乗車券持参の方 450円
高校生以下、65歳以上の神戸市民は無料