木製の“ひとがたオブジェ”や2017年最新作の絵画など約20点

シンプルな「ひとのかたち」に注目『中辻 悦子展』ギャラリーヤマキファインアート　神戸市中央区

　ギャラリーヤマキファインアート（神戸市中央区）で4月1日から、『中辻 悦子展』が開催される。5月6日まで。初日は作家を迎え、オープニングパーティーを実施。

　中辻悦子さんは、絵画や絵本、立体作品など多数の媒体で「ひとのかたち」に注目した作品制作を継続して行っている美術家・絵本作家。1937年大阪府に生まれ、高校を卒業すると同時に株式会社阪神電鉄百貨店部に入社し、のちに宣伝課でグラフィックデザインを担当するように。「第5回現代日本美術展」に出品した1962年に退職したのち、70年代中頃からは、顔の輪郭や目の輪郭のみで「ひとのかたち」を構成する平面作品の制作を展開。また近年の絵画作品には、目の無い「ひとのかたち」も登場している。有機的な曲線と直線、少ない色使いで構成されたかたちはさらに研ぎ澄まされ、観る者を引き込み、内包し、「ひと」、ひいては「肉体」の持つ、器としての機能を思い起こさせると同時に、器に収まらない人間の無限の意識の存在にも気づかされるという。現在は宝塚に住み、神戸市なぎさ公園のモニュメント「夢きずな」や明石市民夏まつり事故の碑「いれぶんはーと」を手掛けるなど、兵庫との縁も深い。

　
　同展では、木製の人形(ひとがた)のオブジェや、2017年最新作の絵画作品など約20点を紹介。現代よりも制限や抑圧が多かったであろう時代に生き、その立場を逆手にとってユーモアや豊かさへと転換する作業を通し、とどまらない進化を見せる奥深い作品を観賞することができる。

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