現実と虚構が交錯する、フランスの現代美術家が魅せる世界

『ジャン・ル・ギャック 1966-2016 展』ギャラリーヤマキファインアート　神戸市中央区

　フランスの現代美術家ジャン・ル・ギャックの個展『ジャン・ル・ギャック 1966-2016 展』が現在、神戸市中央区のギャラリーヤマキファインアートで開催されている。観覧無料。

　1936年南仏生まれのル・ギャックは、はじめ伝統的な絵画表現を志しながらも、60年代の終わりごろから絵画や写真、文章を組み合わせた作品を発表。それらの作品はヨーロッパを中心に注目を集め、1972年には「ヴェネツィア・ビエンナーレ（フランス館）」（ヴェネツィア・イタリア）や、「ドクメンタⅤ」（カッセル、ドイツ）での“個人的神話”をテーマとしたセクションに選出された。そこで出品されたのはル･ギャックの出発点である、画家についての架空のドキュメンタリーを小冊子に写真と文章で構成した作品で、自身の家族や家族が揃って過ごすヴァカンスの状況を設定し、プライベートを描いた絵画や撮影した写真に、虚構の文章を付け加えて制作されたものであった。

　同展では、1960年代に制作された貴重な初期の小冊子に、写真と文章を新たに組み合わせて構成したインスタレーション作品や、2010年代の絵画と写真で構成した近作を中心に約9点を紹介。ポンピドゥー・センター（パリ、フランス）、ニューヨーク近代美術館をはじめ、世界の主要現代美術館に収蔵されているが日本では紹介される機会が少ないという貴重な作品の数々をじっくりと鑑賞することができる。

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