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映画『愛しのアイリーン』より安田顕にインタビュー

「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で1995年〜1996年に連載された新井英樹の漫画を、『ヒメアノ~ル』の吉田恵輔監督が映画化した『愛しのアイリーン』が9月14日より公開される。嫁不足の農村に暮らす42歳独身の岩男と、貧しく若いフィリピン女性・アイリーンの国際結婚を軸に、夫婦、親子、家族における“愛の形”をダイナミックに描いた異色のラブストーリー。原作とは異なる容姿ながらも見事に岩男を演じきった安田顕さんに、「覚悟して観たほうがいい」 というほど衝撃的な本作の見所を語ってもらった。

―2016年『俳優 亀岡拓次』以来の単独主演作。現場では常に“役モード”だったとお聞きしましたが、難しい役柄の岩男であり続けるのは精神的に辛かったのでは?
きつかったけど、離れたくないという気持ちがありました。もちろん演じているわけだから嘘なんだけど、離れちゃったら本当にいない人になっちゃうので。なんか抱えていないと岩男という人間に対して失礼な感じがして、そういうアプローチをとっていたのかなって今振り返ると思います。ただ、ハッピーなシーンばかりじゃないので嫌だなという気持ちになるときはやっぱりありました。順撮りではないですし、そういうシーンを繰り返し撮影するのは心情の揺れがあってきつかったです。気持ちを作るのが大変で「どうにかなっちゃう…」みたいな感じでした。それでもやっぱり、吉田監督の20年にわたる熱い気持ちが形になった作品で、以前からその気持ちは伺っていたので、自分なりに与えられた責任を果たさなきゃと。上手く見られたいとかそういうことではなく、この作品ではある程度自分の内面もさらけ出していかないとダメかなと思っていました。

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―原作で描かれている岩男は背丈が2メートルもある熊のような大男。オファーを受けたときは見た目の違いを懸念されたとか?
マネージャーさんからもらった仕事は断ったことはないので「もちろんやらせていただきます」という答えしかなかったんですけど、「なぜ僕なんですか?」とは聞きました。その時に監督から「僕が描きたいことは見た目じゃない」と熱い想いを伺って、腹をくくってやろうと思いました。共通点とかは分からないですが、どこか重なる部分があるからキャスティングしていただいたと思うので、似ているところは多々あるのだと思います。

―フィリピンでのオーディションを経てアイリーン役に抜擢されたナッツ・シトイさんは、ほとんど日本語が話せない状態で撮影に臨まれたそうですが、撮影中はどのようにコミュニケーションをとられていましたか?
僕も英語があまり得意ではないのでお互い片言。ボディーランゲージを使いながら、なるべく英語で話しかけるようにしていました。日本語が喋れないだけでなく、初めての国に1人で来て、映画の撮り方も違う人たちと一緒にやられているわけですからね。アイリーンに近い環境で過ごされていたと思います。

―キャスティングをはじめ、ユーモアある演出やドキュメンタリータッチの映像など吉田監督ならではの作品に仕上がっていますが、印象的だったシーンは?
作品を観た時にドキッとしたのは、最後の方にアイリーンが日本で見た景色、住んだ家、文字などがスライドショーみたいに重なっていくシーン。それがいろいろなことを語ってるように見えたんですよね。「キリストは復活する」という看板を入れるとか、そのセンスがすごいなと思いました。

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