残酷で優しい、野生の現実。

『キタキツネ物語―３５周年リニューアル版―』

北海道オホーツク。ここより遥か北から、流氷に乗って1匹のキタキツネがやってきた。
アイヌ語で「赤い獣」の意味を持つフレップという名の彼は、妻レイラと出会い、5匹の子宝に恵まれる。
大自然、そして人間が容赦なく命を奪いにくるなか、家族を守るために身を挺して戦う父・フレップ。

4年の年月をかけて撮影された本作は、先ごろブームとなった“ネイチャー・ドキュメンタリー”や“ほのぼの動物映画”とは一線を画す荒々しさがある。
そこに映し出される野生の現実は、時に目を背けたくなるほどに残酷だが、懸命に生きる彼らの姿に本当の絆と愛情で結ばれた家族を見ることができるのだ。

キタキツネ―
サハリン、千島、北海道にすむアカギツネの一種。
本土ギツネより一廻り大きく、二月の厳冬期に結婚、約五十日で出産。
八月末、子別れをし分散する。

翌年の春まで生き残るのは、わずか七％にしか過ぎない。

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