愛される逸品の秘密は「パンを科学する」職人にあり!
和田岬のパン屋さん『メゾンムラタ』【職人こだわり「明日のパン」 Vol.1】
去年、パンの消費量全国2位に輝いた兵庫県。たくさんのお店がありますが、種類や製造方法はそれぞれ違い、味わいも様々です。そんな個性あふれるパン屋さんを取材し、職人たちが認めた「明日のパンを買うのにおすすめなパン屋さん」をリレー方式で紹介してもらう連載企画!
小麦から人々の手元に渡るまで、マニアックすぎるこだわりを紐解きます♪
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記念すべき第1回目は、和田岬にある「メゾンムラタ」。2015年にオープンし、今年で9年目を迎えます。
扉を開けると美しさすら感じるパンが所狭しと並んでいます。ハード系に始まり、その種類は多種多様。ひっきりなしにやってくるお客さんが、トレイに並びきらないほどたくさんのパンを購入していく姿が印象的でした。
売り場の隙間からは、一生懸命パンを製造する職人たちの姿が。今回は「メゾンムラタ」の秘密に迫るべく、製造工程を覗かせていただきました!
製造しているのは全部で5人。職人によってどんどんパンがこねられ、焼かれていきます。
「いつかは自分のお店を持ちたい!」という熱い思いを持つ職人たちを見守るのは、オーナーの村田さん。「お店のパンのこだわりを教えてください」と何ともベタな質問を投げかけると、村田さんから返ってきたのは「パンを科学します」という回答でした。
村田さんのおっしゃる「科学」。それは生き物のように変化し続ける粉の状態を見極め、「トライ&エラー」をひたすら繰り返すこと。「一般的にこれがいい!と言われているものでも、本当にそれが正しいかはわからない。パン作りはまさに子育てのよう」と話します。
例えば「グルタチオン」という成分。この成分が多いとパンが膨らむための骨格ともいえる「グルテン」ができにくいという理由から、これまで大手のパン屋さんでは「入っていない方がいい」とされていたといいます。
しかしこの成分、実は酸性のものを加えることで「パンがより膨らむ」ことが分かり、今では天然酵母などを混ぜることで「グルタチオン」を活かすパン作りが行われているんだとか。
お店ではその時期の粉の状態に合わせ、1年を通じて様々な種類の天然酵母を使ってパンを製造。そんな中でも「パンを買いやすい値段で販売すること」は忘れないよう、意識し続けているといいます。
今回はそんなこだわりが詰まったパン「アルビオレ」をいただきました。まず驚いたのは、袋を開けた瞬間立ち込めた香ばしい香り。
皮はカリっとしているのに中はモッチモチでやわらか。酸味のあるフルーティーな小麦の旨みが、噛むほどにじゅわっと広がります。こんなパンは初めて。「朝のパン」では足りないほど、もっともっと食べたくなる味わいでした。
新しい情報を常に追い求める姿勢を大事にしている村田さん。そんな村田さんが目指すのは「時代に合わせたパン屋」です。
競争のため様々なパンを販売するお店が多かった中、最近は「食パン専門店」など専門化されたパン屋さんも増加。分業されたフランスのパン屋さんに近づいていると感じているんだとか。
「新しい職人を育てることも好きなので寂しい部分もあるが、時代の変化に合わせ、買いに来たお客さんが一番喜んでくれる方法を常に考えていきたい」と話してくれた村田さん。
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「下町のパン屋さん」にこれだけ多くの人が集まる理由は、おいしいパンの裏側にある「熱い職人たち」にあるのかもしれません。
次回はそんな村田さんが「発酵の味の出し方が素晴らしい」と絶賛したパン屋さんをご紹介します♪
- 場所
- メゾンムラタ
(神戸市兵庫区小松通2丁目3-14 )
Google マップ - 時間
- 7:15〜17:30(日曜日は14:30まで)