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ミュージカル『Romale(ロマーレ)』松下優也にインタビュー

19世紀に描かれたメリメ原作「カルメン」をベースに、新たな“カルメン”として上演するミュージカル「Romale(ロマーレ)~ロマを生き抜いた女 カルメン〜」。カルメンがロマ族として、当時の社会でどのように生き抜いてきたのか、小説やオペラでは表現されていない部分を演出・振付の謝 珠栄さんが描き出す。カルメンへの愛の深さ故に罪を犯してしまうホセの転落人生、“魔性の女”カルメンの真実の姿とは—。カルメン役に元宝塚歌劇団・花總まりさん、ホセ役は歌手としてだけでなくNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」に出演するなど俳優としても活躍中の松下優也さんが演じる。 本作の見所や意気込みについて、そして今年デビュー10周年を迎える今の心境を松下さんに伺った。

―本作のオファーがあったときは、これまでとは違うタイプの作品に少し戸惑われたとか?
もちろん素直に嬉しかったんですけど、今までは漫画原作のものが多かったので、大型ミュージカルに出られている俳優さんがたくさんいる中で「なぜ僕を選んでくださったのかな」と思いました。もしかしたら僕を何かで見てくれて、ホセにつながるものがあったのか、まだその理由は聞けていないんですけど、どこかのタイミングで聞いてみたいですね。
―まだ稽古に入られていないとのことですが、ホセを演じる上でどんなところが難しそうだと考えていますか?
スペインが舞台ということで国籍が違うので、人との距離感や接し方など、日本人とは違う感覚を掴むのが難しいのかなと思っています。人種問題は、この作品にとって重要なテーマになっています。日本人に共感してもらうのはなかなか難しいかもしれないけど、何かを感じてもらえるように、意識して演じないといけないなと思っています。ホセは、人生が転落してしまうほどカルメンに翻弄されてしまいますが、男らしい部分もあって。弱いところ、強いところがある人間らしい役柄なので、演じがいのある役だと思います。

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ゼロにした状態で現場にいって
やりながら作っていく

―松下さんがホセを演じることで、どんな作品にしたいと思っていますか?
僕がホセ役で出演させていただくのは恐れ多いのですが、元々すごく有名なカルメンをもとに、新たな切り口で描く作品なので、自分がやることによって「こんな見せ方もあるんだ」と感じてもらえたら嬉しいですね。自分よりお芝居や歌が上手い人がたくさんいる中で僕がやらせてもらえるなら「新しい」「あんまり日本のミュージカルでは観たことがない」と感じてもらえるような作品にしたいです。もちろんミュージカルの基本にのっとりながら稽古をやっていく上で、その新たな発見を見つけていきたいなと思っています。僕の基本的なスタンスとして、稽古前にあまり決めていかないというのがあって。決めていってしまうと、自分が想定しているものと違う演出やお芝居が来たときに対応できないので、自分をゼロにした状態で現場にいって、やりながら作っていくというのが自分に向いているのかなと思っています。

―演出を手掛ける謝 珠栄さんも現場で思いついたことをやりながら作っていく方だと以前お話されていましたが、松下さんの役づくりと合っているのでは?
合っているかもしれないですね。基本的には演出家の方がおっしゃることがすべてだと思っているので、言われたことをなるべく理解して演じたいと思っています。言葉で伝えても頭の中で描いているものが同じものだとは限らないので、それをできるだけ理解したいですね。その反面、僕は稽古中は何をやってもいい場所だと思っていて。はじめから答えを出されて「こうして」と言われるのでは、見つけ出していく面白味がない。同じ芝居でも、毎回セリフの言い方や動きを変えてみたり…怒られようが大失敗をしようが、稽古では思いつくことをいろいろやっていきたいんです。その中で「それが良い」というのを演出家の方に決めてもらえるのが一番いいのかなと思っています。まだ台本に描かれていない部分もあるだろうし、実際にやってみないと分からないのでどんな稽古になるのか楽しみですね。