男が出会ったのは美しく残酷な姫だった―

シネマ歌舞伎『野田版 桜の森の満開の下』

　神戸国際松竹（神戸市中央区）とMOVIXあまがさき（尼崎市）で4月5日より、シネマ歌舞伎『野田版 桜の森の満開の下』が上映される。

　シネマ歌舞伎とは、HD高性能カメラで撮影した歌舞伎の舞台公演を映画館でデジタル上映する人気企画で、”美”と“臨場感”にこだわった映像でまるで生で歌舞伎を観ているかのような感覚で楽しめる。来年2月まで毎月異なる作品がラインナップし、今回は、現代演劇界を代表する奇才・野田秀樹が坂口安吾の小説「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」を下敷きに書き下ろした舞台「贋作・桜の森の満開の下」を歌舞伎として上演した作品を上映。

　舞台「贋作・桜の森の満開の下」は1989年に「劇団 夢の遊眠社」により初演されて以来、安吾作品のエッセンスを随所に散りばめた戯曲、その美しい世界感が多くの演劇ファンを魅了し、常に上演を望む声が多かったほど好評を博した。そんな伝説の舞台を、主演・中村勘九郎をはじめ、昨年1月に襲名披露をした松本幸四郎（本作公演当時は市川染五郎）、中村七之助、中村扇雀、坂東彌十郎ら多彩な出演者で歌舞伎化した、まさにファン待望の作品だという。

＜ストーリー＞深い深い桜の森。時は天智天皇が治める時代。ヒダの王家の王の下に、耳男、マナコ、オオアマ3人のヒダの匠の名人が集められる。 ヒダの王は3年後の娘・夜長姫の16歳の正月までに「夜長姫と早寝姫を守る仏像の彫刻を競い合うこと」を3人に命じる。しかし実は3人とも素性を隠し、名人の身分を偽っていた。やがて3年の月日が経ち、3人が仏像を完成させたとき、それぞれの思惑が交錯し…。

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