現在、ABCテレビ・テレビ朝日系列で放送中の連続ドラマ「たとえあなたを忘れても」は、神戸の街を舞台に、ピアニストになる夢に挫折した主人公・美璃と記憶障害のある青年・空の交流を描いたヒューマンラブストーリー。

足元に木片やガラス片が散乱した “”ありのままの状態” で保存されていました

東灘・灘区を中心に市内の様々な場所がロケ地として使用されており、先日も灘区の『旧摩耶観光ホテル（以下、マヤカン）』で撮影が行われました。特別に撮影現場の取材をさせてもらえたので、その模様をお届けします♪

©ABCテレビ

本作はABCテレビが制作を担当する日曜よる10時の全国ネットドラマ枠の第3弾で、『ラスト・フレンズ』『純情きらり』などを手がけた浅野妙子氏が脚本を担当。主演には関西出身の女優・堀田真由さんが抜擢されました（今回が地上波連ドラ初主演！）。

ツアー以外での立ち入りは禁止されているのでご注意ください

撮影が行われたマヤカンは、“廃墟の女王” の愛称で親しまれている国内でも屈指の人気廃墟で、定期開催されている見学ツアーは毎回即完売するそうです。テレビドラマのロケ地として使用されるのはなんと数十年ぶりなんだとか。

別のシーンの撮影で使用された廊下。どこか上品さを感じさせるのは、まさに “女王” の風格

撮影は見学ツアーでも見ることができない2階フロアで行われており、激レアな空間の映像を観ることができるのも今作の魅力のひとつといえます。

施設の活用を担っている『摩耶山再生の会』事務局の慈（うつみ）憲一さん曰く、施設保存と安全の観点から（撮影の依頼を）断ることが多いそうですが、今回は制作側の「神戸の街の魅力を発信したい」という強い思いを受けて、撮影を了承したそうです。

内部に入る時は安全のためにヘルメット必須です

現場に到着すると、大谷健太郎監督をはじめ、たくさんの制作スタッフが撮影準備を行っていました。ちなみに撮影機材は毎回『まやビューライン』協力のもと、ロープウェーを何往復もして運び入れていたそうです（すごい…！）。

この日撮影されたのは、マヤカンで美璃がピアノを弾くシーン。本作は『記憶』が重要なファクターになっていますが、朽ち果てた廃墟に佇むピアノは、“蓄積された時間や記憶” 、あるいは “忘れ去られること” の象徴のように感じられました。

撮影終了後、主演の堀田真由さんに自身が演じる美璃についての印象を伺うと、「（美璃は）自分に自信がないんだけど、実は芯が強い一面もある女の子で、思ったことをちゃんと言葉にできる人。だからこそ、空にとって唯一無二な存在になれるんだと思います」と話してくれました。ちなみに自分と美璃の共通点は「炊いたご飯を冷凍保存するところ」なんだとか（笑）。

マヤカンのほかに『六甲アイランド』でのロケも印象的だったそうで、「実家で犬を飼っているので、地元の人がワンちゃんとお散歩している様子を見て癒されていました」とのこと。撮影中に “空のキッチンカーが本当に営業していると思って並ぶ人が現れる” 一幕もあったそうです（笑）。

大谷健太郎監督

続いて、撮影現場を指揮する大谷監督にもお話を伺いました。監督は京都のご出身で、神戸は子どもの頃や学生時代に何度も訪れた思い出深い場所だそう。今作ではそんな神戸の街を「観光地巡りのような撮り方」ではなく、“実際に神戸で暮らす主人公・美璃の視点で見せること” を特に意識しているそうです。

美璃と空のピクニックシーンが撮影されたバルコニー

その言葉の通り、劇中での美璃の行動範囲や場所の位置関係は、神戸に住む人が違和感を感じないよう忠実に組み立てられており、筆者もドラマを観ていて「動線がリアルやな～」と感じました。※2話に1シーンだけ「そこへ向かうならそっちには行かんやろ！」とツッコミを入れた場面がありましたが…（笑）。

撮影／石屋川公園　©ABCテレビ

「美璃の目から見た神戸の街の風景を観て、地元の人にも『こんなに素敵な場所があったんだ』と、街の魅力を再発見してもらえると嬉しい」と語る大谷監督。

実際、石屋川公園や御影公会堂のシーンを観て「行ってみたい」と思った人も多いのではないでしょうか。プライベートであまり御影を訪れない筆者は、大いに感化されました（笑）。

虹の駅 展望台からの景色

最後に、ここまで記事を読んで「マヤカンを見てみたい！」と思った人に耳寄りな情報を。

近くで見るには見学ツアーに参加する必要がありますが、摩耶ロープウェー 虹の駅（旧摩耶観光ホテル前）に用意された展望台からは、いつでも全景を眺めることができます。皆さんもぜひ放送中に足を運んでみてください♪