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舞台『絶唱サロメ』より池田純矢にインタビュー

終盤に一気に回収していく感じ
最後のストンと落ちる気持ちよさ

―脚本家・演出家・役者と3つの顔を持つ池田さん、それぞれの目線から本作の見どころをお願いします。
なんか偉そうな感じになっちゃいますが…(笑)。脚本家としては「エン*ゲキ」シリーズ以外でも何度かやらせていただいていますが、舞台は後半にカタルシスを生み出すことが大切だと思っていて。序盤・中盤で物語が繰り広げられる中で「その場面も伏線だったのか!」と驚かせるくらい終盤に一気に回収していく感じ。そこでお客さんの中でストンと落ちる気持ち良さがエンターテインメントならではだなと思っていて、「エン*ゲキ」シリーズでも脚本を書く時は後半のカタルシスを重視しています。演出家としては「LIVE ENTERTAINMENT」をどう表現するかというところ。まだ細かい部分で悩んでいるころもあるのですが、全体的に新しい楽しみ方ができるんじゃないかなと思います。どうしても演劇となると身構えてしまいがちですが、ラフに見て欲しいです。僕は大阪出身なので地元に帰った時に吉本新喜劇を見に行くこともあるんですけど、一番前に座っているおばちゃんが舞台上にお弁当を置いたり、見終わった後に近くのお店に入ったら横に池乃めだかさんが来たり(笑)。そういう感覚ってすごく大切だなと思っていて、演劇もそういう心持ちで見てもらえるようになれば嬉しいです。

―3つ目、役者としての見どころは?
役者が演出をするメリットとして、僕はテレビドラマ、映画、舞台、アニメの声優といろいろなことをやらせていただいているので俳優陣との繋がりが広いこと。今回であればアーティストの松岡さんはじめ、ミュージカルで活躍するシルビア・グラブさん、プリキュアシリーズなどを担当する声優の吉田仁美さんなど、いろんなジャンルの方に出演していただいています。一つの作品でこれだけ多ジャンルの方が集まるのはなかなかないと思うんですよね。逆にまとまるかなと心配になるくらい個性のぶつかり合いですが(笑)、これは「エン*ゲキ」シリーズの魅力の一つだと思います。

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 ―「後半のカタルシス」を好むのは、話の最後にオチをつける大阪の文化も影響していますか?
最後に気持ちよく終わって欲しいというのは僕が関西人だからというのもあるかもしれないですね。映画でもそういう作品が好きで、クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』や『インセプション』など、普段はミステリーやSFなど根幹がしっかりしているものをよく観ています。あとは三谷幸喜さんの笑いのどんでん返しはものすごいパワーで大好きです。序盤に何でもなく聞いてたところが最後に同じセリフを言うとドカンとウケたり、本当に面白い。今回はこのシリーズで初めてコメディではない作品なので、笑ってもらいたいというテーマからは外れるのですが、思わずクスッとできる場面は取り入れたいなと思っています。

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―そもそも脚本家・演出家・役者の3役をやろうと思ったきっかけは?
やろうと思って始めたではなく、気づいたら始まっていたパターンです(笑)。役者という仕事に関してもそうなんですけど、熱い想いを持ってやり始めたわけでもなく。このシリーズの1作目に関しては僕が書いた小説を演劇にしたので、それを脚本にするのは僕の仕事だと思ったし、演出というかその本から立体的に作り上げるのも書いた僕が一番向いているだろうなと、そして出演に関してはこのキャラクターを演じたいと思ったからです。これがそもそものきっかけで、「エン*ゲキ」シリーズとして今後もやるのであればそれを続けていこうと、脚本・演出・出演の3役になりました。そして演劇にもこだわっているわけではなく、ドラマも映画も好きです。ドラマの脚本を書いて欲しいと言われればすぐに書きますし、映画監督をやって欲しいと言われればすぐにやります(笑)。

―最後にメッセージをお願いします。
同じ作品でも東京、大阪でやるのは雰囲気が全然違うんですよね。これが演劇の魅力でもあるのですが、お客さんが変われば作品も変わるので、同じ脚本・演出でも絶対同じものができることはなくて。そういう意味では、間違いなくその変化が一番大きいのが大阪で。全国をまわっていて他の県で笑いが起きたからって同じように笑ってくれると期待しないとか、「大阪ではそれは通用しねぇぞ」という心意気でやっています(笑)。観光のついでに、マンネリ化してきたカップルのデートに、親御さんが子どもを連れてなどなど、気軽に来てもらいたいです。構えずに来てもらって、観終わったら「あぁ楽しかったねー!」って劇場を出てもらえる作品になっておりますのでぜひ遊びに来てください。

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エン*ゲキ#04『絶唱サロメ』

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王女サロメ(豊原江理佳)は生きることに嫌気がさしていた。ある晩、王であり義理の父が向ける悍ましい視線から逃れるようにテラスへ出ると、美しい唱声を聴く。牢獄に幽閉されていた声の主・ヨカナーン(松岡充)は、唱う言葉が全て現実のものとなる不思議な力を持っていた。妖艶な魅力に取り憑かれるように惹かれていくサロメ。いつしか逢瀬を重ねていく二人だったが、王はそんな関係を赦しはしない。そして、ヨカナーンは世界の根幹を揺るがす重大な秘密を明かし、サロメとある約束を交わす…。

原案 オスカー・ワイルド
作・演出 池田純矢
音楽 和田俊輔
出演 松岡充、豊原江理佳、納谷健、小浦一優(芋洗坂係長)、吉田仁美、池田純矢、鈴木勝吾、シルビア・グラブ ほか
大阪公演 <日時>
2019年10月26日(土)13:00〜、18:00〜
2019年10月27日(日)12:00〜、16:00〜<場所>サンケイホールブリーゼ
(大阪府大阪市北区梅田2-4-9 ブリーゼタワー7F)
チケット S席 7,000円(税込)
チケットの問い合わせ 公演事務局(10:00~18:00)
0570-200-114
公式サイト http://www.enxgeki.com

 

池田純矢 Jyunya Ikeda
2006年に「JUNON・スーパーボーイコンテスト」で14歳にして史上最年少準グランプリを獲得。ドラマ「わたしたちの教科書」(CX)、映画「DIVE!!」で俳優デビュー。11年「海賊戦隊ゴーカイジャー」(EX)でゴーカイシルバーを演じ、その名は全国区に。11年から舞台にも活躍の場を広げ、15年には自身が脚本・演出を手掛ける企画「エン*ゲキ」を立ち上げ、第1回公演『君との距離は100億光年』で舞台演出家デビュー。第2回公演では弱冠24歳にして紀伊國屋ホールで上演を果たす。主な出演作に舞台『オセロ―』、ミュージカル『HEADS UP!』、映画「曇天に笑う」、ドラマ「今日から俺は!!」(TV)、「トレース〜科捜研の男〜」(CX)など多数。

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撮影:米田英夫
取材・文:木下あづさ