Vol.2:見どころ、どこなん?「ディレクターズプログラム」「フェスティバルプロデュース」
豊岡演劇祭の個性あふれるプログラム
今年、演劇祭ではエリア全域でおよそ70のプログラムを実施。劇場だけではなく温泉街、海岸、高原、神社の境内に設けられた木造の農村舞台など、まちのいたるところが舞台となって訪れた人を楽しませます。
フェスティバルプロデューサー・平田オリザさんや演劇祭が招待した「ディレクターズプログラム」「フェスティバルプロデュース」と、公募で選ばれた参加型の「フリンジプログラム」があり、それぞれに違った魅力があるのです。
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今回はそれぞれプログラムの特徴や見どころ、さらに演劇祭のプロデューサーに聞いた「おすすめの作品」をご紹介!
自分にピッタリな「演劇祭の味わい方」を探してみてください!
平田オリザさんが監修「ディレクターズプログラム」
「ディレクターズプログラム」はフェスティバルディレクターである平田オリザさんが監修した作品が揃う、まさに”今年の目玉”となるもの。今年は10作品が、国内外から豊岡の地へ集まります。
今回は中でもおすすめだという作品を、プロデューサーの加藤奈紬さんに伺いました。
≪プロデューサー・加藤奈紬≫
名古屋出身で「豊岡演劇祭」の立ち上げに際し、2020年に豊岡へ移住。人と舞台を繋ぐ場づくりに関心があり、豊岡演劇祭では観客とアーティストが一体となるようなプログラムのプロデュースに力を注いでいます |
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①たじま児童劇団『転校生』
この作品は平田オリザさんが作・演出を務めており、1994年の初演以来、”高校演劇のバイブル”的な戯曲となっているもの。学校の教室を舞台に、学生の他愛もない日常から始まる物語です。
今回作品を演じるのは、但馬地域の学生21人!演劇祭ならではの演目となっており、観劇を初めてみる人にもおすすめなのだとか。
≪ストーリー≫
目覚めると少女は転校生になっていた…カフカ『変身』をモチーフにした平田オリザの代表作を、但馬の中高生が熱演。
≪加藤さんのここ観て!ポイント≫
この作品では学生の役を、現代を生きる”本物の学生”が演じます。演劇はその時一度しか体験できない時間芸術。「子どもたちによる演技の初々しさ」に注目してご覧ください。 |
②マームとジプシー『Chair/IL POSTO」
「マームとジプシー(MUM&GYPSY)」は演劇作家・藤田貴大が率いる演劇団体。今回発表する新作は国際共同製作作品の第二弾で、イタリアで活動するメンバーと共同で作り上げたものなのだとか。
様々なブランドとのコラボなどから、演劇ファン以外からも多大な注目を集めることで知られる「マームとジプシー」。当日、会場ではイタリア語と日本語の2カ国語で上演され、その世界観をより感じられる空間が広がります。
≪ストーリー≫
2023年11月、藤田がイタリアのトスカーナ地方にある町サンセポルクロに2週間ほど滞在した際に見た風景、訪れた場所、自身が体感した出来事を軸に、とある町にやってくる旅行者たちを描きます。
≪加藤さんのここ観て!ポイント≫
「マームとジプシー」は、扱う題材や表現の仕方、音楽の使い方がとにかく特徴的!待望の新作を、ぜひ見届けてほしいです。 |
”地域の表情”が活きる「フェスティバルプロデュース」
演劇祭がプロデュースする「フェスティバルプロデュース」は、地域や食、交通などとアートが掛け合わさったもの。「舞台芸術」の可能性がより拡張されており、今年は7作品が上演される予定です。
こちらも、加藤さんのおすすめを伺いました♪
①ダンスカンパニー Mi-Mi-Bi『島ゞノ舞ゝゝ』
「ダンスカンパニー Mi-Mi-Bi」は、あらゆる障がいを持った人たちで構成されたコンテンポラリーダンスチーム。「未だ見たことのない美しさ」を追求したパフォーマンスは、多くの人を魅了しています。
披露されるのは初公開となる新作!それぞれの身体、感覚を持ちながら、新しく文化を創り、歴史を積み重ねている姿を「島」に例え、自然の営み、人のたくましさ、知恵、ユーモアのあるふるまい、これらに流れる時間などを表現します。
≪ストーリー≫
「島」をテーマに、移動する側から、特定の場所で生活する側へと視点を変え、自然社会での営みや他者との出会いに伴う厳しさや葛藤、それらに向き合うたくましさ、知恵、ユーモアのあるふるまい、そこに通底する揺るぎない想いなどから着想を得たダンスを、Mi-Mi-Biに起きた出来事も反映させながら展開する。
≪加藤さんのここ観て!ポイント≫
「舞台芸術」とは誰かの価値観に触れ、新たな世界観と出会うこと。「ダンスカンパニー Mi-Mi-Bi」のダンスを通じて、障がいの有無に関係なく、生み出されたその”美しさ”を感じてほしいです。 |
②烏丸ストロークロック×但東の人々『但東さいさい』
京都を中心に現代演劇を創作・上演する劇団「烏丸ストロークロック」。彼らが但東の地で注目したのは、地域に伝わる民話でした。
但東は「高橋地区」「合橋地区」「資⺟地区」の3地域に分かれており、同劇団はこれまで各地域の子どもたちと共にオリジナル神楽を創作。今年は、国指定の文化財『日出神社』に現存する「農村歌舞伎舞台」で神楽を披露します。
≪ストーリー≫
美しい田畑が広がる但東で地域の子どもたちと民話をもとにしたオリジナル神楽を創作。趣きある農村歌舞伎舞台が会場となる。
≪加藤さんのここ観て!ポイント≫
過疎化が進んでいくと、民話などをはじめとした歴史から学ぶ「地域の背景」を知ることが難しくなります。こちらはそんな”地域の遺産”を守る演目。背景や歴史を知って、人に寄り沿うきっかけにしてほしいです。 |