近畿地方に現存する最古の芝居小屋、出石永楽館で行われる「第十回 永楽館歌舞伎」の記者懇談会が行われ、第一回から座頭を勤める歌舞伎俳優の片岡愛之助さんが出席、今回の公演について思いを語った。
ー10回目を迎えてのご感想は?
第1回目の時はこれからどうなっていくのか心配でしたが、みなさまのお力で2回3回と続けられ、今回10回となり感無量でございます。
ー『仙石騒動』は約130年ぶりの上演となりますが?
前々から仙石騒動は名前が挙がっていたのですが、あまりにも長い作品なので手をつけられないでいましたが今回やはり節目の10回ということで挑むことになりました。僕は神谷転と仙石左京と2役を早替りで勤めさせていただきます。もともとお家騒動なので登場人物を善と悪として割り切ることはできないのですが、物語を分かりやすくするため、歌舞伎らしく善と悪で演じ分けようと思っています。
ちなみに僕の後援会より10回公演のお祝いとして祝い幕を贈ってくださいました。襲名でもしない限りいただけない貴重で高価なものを今回永楽館でかけさせていただこうと思っています。これもひとつの目玉です。
ー10年ふりかえって印象に残っていることは?
第二回公演の『車引』という演目で油などで頑丈に固めた“くるまびん”と呼ばれている鬘が暑すぎて溶けてしまうという歌舞伎史上初の出来事がありました(笑)。確かにたくさんの着物を着てライトが当たっているところで踊っていましたから、体感温度は50度を越えていたかもしれません。そんな8月の永楽館で鍛えられましたから少々どんな役でもへっちゃらになりました(笑)。