神戸電鉄 有馬温泉駅から徒歩約5分、有馬温泉停留所からは徒歩約1分の場所に、第65期王位戦の対局会場となった老舗旅館『中の坊 瑞苑』があります。今回は、対局中に「勝負めし」として提供した話題のメニューを同施設の和食レストラン『旬菜 猪名野』へ取材に行ってきました。

有馬温泉駅から有馬川に沿って太閤橋方面へ進み、有馬温泉観光総合案内所を過ぎて少し歩くと、「猪名野」と書かれた真紅の懸垂幕が目に入ります。入口は2階にあるため、この幕の横から建物の中に入り、階段を上がってください。

2階へ上がると、正面には木製の看板、左側には格子戸があり、ここがお店の入口です。

店内はいくつかのブロックに分かれており、明るい窓際の席や、程よい明るさで落ち着いた雰囲気の部屋など、様々なシチュエーションに合わせた空間が用意されています。

ゆったりとした時の流れを感じる静かで上品な空間は、心を和ませてくれます。

「神戸牛と淡路産玉ねぎ丼ぶり」3,630円（税込）

この日は、将棋の対局で話題となった「神戸牛と淡路産玉ねぎ丼ぶり」を注文しました。運ばれてきた瞬間に、出汁の香りがふわっと広がりました。

なんて豪華な御膳でしょう！ 美しく盛り付けられた神戸牛の丼ぶりには、小鉢と赤出汁、香の物、フルーツが添えられています。

一般的に「丼ぶり」はカジュアルな印象がありますが、こちらの丼ぶりは上品な佇まいで、じっくりと味わいたくなる逸品です。彩り鮮やかな三つ葉が丼ぶりに華を添えています。

大きな神戸牛は一口で食べるのが惜しいほど。淡路産の玉ねぎや但馬産のお米など、地元の素材を贅沢に活かした丼ぶりです。

お箸で一口サイズにカットし、ご飯と一緒に口に運ぶと、あっさりとした味付けが神戸牛の旨味を引き立て、深みのある出汁が上品な余韻を残します。ご飯にも出汁の旨味がしっかりと染み込んでおり、バランスが絶妙です。

秘伝のタレは、丼ぶりがメニューに追加された当初から継ぎ足して使われており、このタレが丼ぶりに深い旨味をもたらしているのでしょう。七味を少し加えると、出汁の甘みがさらに際立ちます。

丼ぶり以外にも、王位戦で提供された「勝負めし」メニューがあります。特に人気があるのは「うな重膳（4,180円／税込）」と「神戸牛　すき鍋膳（3,520円／税込）」です。すき鍋には兵庫県小野市小麦「ふくほのか」を使用されており、それを目当てに訪れる人も多いとのことです。

店内にはピアノのBGMが流れ、大人の洒落た雰囲気が漂う「旬菜 猪名野」。ちょっと贅沢な気分で、少しお洒落をして出かけたくなるような和食レストランです。特に紅葉の季節には、色鮮やかな景色とともに、さらに一層豊かな時間を過ごせることでしょう。