このイベントは終了しました。
港町神戸のシンボル的存在、レトロなビルを訪ねて
旧居留地「神戸商船三井ビル」100周年記念 体験レポ 神戸市中央区
神戸の旧居留地でひときわ貫禄と風格を漂わせている「神戸商船三井ビル」は、商船三井の前身である「大阪商船」の神戸支店として、日本を代表する建築家 渡辺節により設計されたアメリカンルネサンス様式の石積みの建造物です。第一次世界大戦後の不況風と、大正デモクラシーの気風が入り混じる1922年(大正11年)に竣工し今年で100年となります。その記念として行われたメディア内覧会に行ってきました。
現在は約80社が入るオフィスビルとなっているため通常非公開ですが、一日限定で内部が公開されました。一階は当時の面影を残しつつ、一部店舗利用されています。
太平洋戦争時の神戸大空襲、阪神・淡路大震災の逆境を乗り越え、港町神戸の100年を見守りながらのこの場所に存在し続けているビル。外観と内部は修復を行いながら、丁寧に使用され、当時のままきれいに残されている部分の多いことにも驚きます。
北側エントランスを入って左側にある手動エレベーターは、現役で稼働しています。今は貨物用となっていますが、今回は特別に乗ることができました。蛇腹扉の開閉、レバーの操作は設備士の方が行います。
1階から3階までの往復でしたが、扉の開け閉めの音や到着時のガタンという振動も実感。100年前にもこの同じエレベーターに乗っている人がいたと思うと、タイムスリップしたような気分にも。
屋上に設置してあるエレベーターのモーターも見ることができました。部品が手に入らなくなり丁寧にメンテナンスしながら使い続けていたそうですが、最近になり特注で交換部品を作ってくれる工場が現れ、これでまだまだ現役続行ですね。
今見てもカッコいい重厚感のあるポスト。建物内での初代ポストとして使用されていました。
各階に設置されているシューターは、現在建物一階の赤いポストに連結されて、そのまま投函できるようになっています。
かわいい小花柄の床タイルは、当時のものが敷き詰められています。(一部修復箇所あり)色使いやデザインは、お洒落でモダンって感じです。
豪華に装飾された手すりや一部大理石を使用した階段も、シックで落ち着いた雰囲気。
光を放つと天井に星形のシルエットが映し出される照明にも繊細さを感じます。建物の中には、細かなところまで多様なデザインが施されています。その美しさが今見ても古さを感じないところも素敵。
歴史を潜り抜けてきたことを物語る、戦時中に受けた爆撃の痕を見ることができます。これまでも何度もビルの前を通っていましたが、今回初めて説明を聞き、傷跡を知ることができました。
阪神・淡路大震災では一部損傷があったものの、神戸で保存したい代表的建築物として復旧工事が行われ、そののち建物の取り壊し、建て直しの話が出るも、今の姿のまま外観内観を損なうことなく耐震工事も完了。外からは見えにくいビルの裏側に、耐震フレームが設置されている様子を、今回見ることもできました。雄大に美しく存在するビルを裏から支える巨大な鉄のフレームは、力強さが感じられる光景でした。
戦争、高度成長、震災を乗り越えてきた100年。これから先もきっと神戸の街を見守り続けてくれるはず・・・。
旧居留地を散歩する機会があれば、美しくアールを描く石積みや雄大にそびえる姿と、その先に広がる空を立ち止まって見上げてみてくださいね。迫力ある景色が迫ってくるのを体験できるはず。ビル外観の彫刻やペディメント、テラコッタ使用の外壁などは眺めることができるので、時代の流れを感じながら建築散歩を楽しむのもおすすめです。
現在期間限定で、北側エントランスの一部が一般公開されています。一階受付にお声がけが必要です。5月31日まで。平日のみ9時から16時。※予告なく公開停止となる場合があります。
詳細情報
- 場所
- 神戸商船三井ビル
(神戸市中央区海岸通番地)
GoogleMapで探す - 問い合わせ
- 「神戸商船三井ビル」PR事務局(株)TANK内
TEL 03-6427-6270
mail info@tankpr.jp
- この記事の地域の天気情報