ミュージカル出演をされるようになったことで、今までの音楽活動と俳優活動が一つになった印象がありますが、ご自身ではどう思われますか？

いろいろなことを知るという意味では、歌というよりも音楽にはこんなに種類があって、そのどれもが自分の中に入ってきているので、それを後々自分の中で整理して必要なときにこれを出したりとか、引き出しをもっとたくさん持たないといけないなっていうふうには感じましたね。
今回舞台の本番中に（TOYBOXの）レコーディングだったので、ちょっとミュージカルの歌い方が抜けなかったりでいろいろあったんですけど（笑）

いろいろとは？

じつは自分で作詞作曲した“あいことば”が、このアルバムの一発目のレコーディングだったんですね。だけど、（「ロミオ＆ジュリエット」の）本番中で、しばらく自分の歌は歌っていなかったんです。そしたら、どうも声の出すところが全然違ったんですよね。
自分ではちゃんと歌ってるつもりなんですよ。ただそのいつも通りが、聴くひとはいつも通りじゃなくて。アレンジ含めてやってくれた吉田トオルさんに「カズくん、ライブと全然歌い方違うひとだね」って言われて、「嘘!?」と思って聴かせてもらったら、その通りで。
トオルさんに「ちょっとカズくんブースから出てきて」と、7周年のライブのときのリハの音源を聴かせてもらったんです。自分の曲なのに（笑）
「ああ確かにこんな曲だった」と、そこから段々自分を取り戻していって、ようやくレコーディングできたんですけどね。自分の曲なのに一番苦労した曲です。しかも一回ライブでやってるのにもかかわらず！（照れ笑い）

あのロマンティックな歌にそんな苦労があったとは驚きです。

ミュージカルの歌を唄って、その後のレコーディングで自分の歌を唄うと、それがやっぱりすぐには抜けないんですよね。そしたら“こ～のうた～を～♪”（ミュージカル調）みたいになっちゃって。
「あれ、なんかブースの外のみんながおかしな感じになってる」みたいな（苦笑）

びっくりしますよね（笑）　ちなみに、レコーディングはどれくらい時間がかかるものなんですか？

曲によりますけど早ければコーラスまで3時間4時間で録れるんです。でも、その日はほんと終わったって思いましたね。最初でこれかよ！って、自分自身が嫌になっちゃって。いやでも楽しまなきゃだめだと、そこはしっかり割り切ってがんばりましたけど。

そのチェンジ大変ですよね？

大変ですね。「なんで自分の歌なのに唄えないんだろう」っていう悔しさもあるし、それが素直に歌にでちゃうから。でもそういう歌じゃないし、優しい歌だから。無駄に声を張ってもダメなので。
だから間違っても最初に録った“あいことば”は聴かせられないです。でも、今回楽曲提供もしてくださった大島賢治さんには「逆にそれ聴きたかったな」って言われましたけど。大爆笑です（笑）

そして、11月17日（土）に姫路で「TOYBOX」発売イベントがありますが、ところで加藤さんは兵庫県に来たことはありますか？

あります！ライブで三宮のVARIT.（神戸市中央区）とか舞台で兵庫県立芸術文化センター（西宮市高松町）とか。姫路は今回が初めてです。

兵庫県で今まで行かれた中で、おすすめのお店などありますか？

元町の駅おりてすぐのところのお肉屋さんのコロッケ（編集部注：森谷商店/兵庫県神戸市中央区元町通1-7-2）。あそこいつも並んで食べるんです。好きです。

え、並ぶんですか!?

好きなんですよね。僕は地元が名古屋なんですけど、中学生のときにL'Arc〜en〜Cielさんのライブがあって観に行ったとき、hydeさんが「もう味噌カツ食べたで～」とか、めっちゃ言ってたんですよ。それが当時の僕には衝撃的で忘れられなくて。土地に触れるっていうことがステキだなって今でも思っているんです。行った土地に、たとえば仙台行ったら牛タン食べるとか、そういうものに触れたいんですよね。
時間があれば、あれ食べて、これ食べて、でもお腹はいっぱいになる、でもあれこれ…じゃあ今度絶対食べます！とか（笑）

地元の人間にとっては嬉しいお話です（笑）。今回、姫路まで来てくださるのも地方のファンにとっては嬉しいことですよね。

聴いてくださいと言うのは簡単だけど、それって行かないと届かないんですよね。だからこそ自分から音楽を届けに行きたいっていう思いが僕のなかにすごくあるんです。歌わせてもらえる場所があるなら、その場所に行って歌いたい。
それに、「学校終わってすぐ来たんです！」とか「仕事早く終わらせてきました！」とか。あとは、通りかかりの奥様の「初めて見たけど、あんたエエオトコやねえ」みたいな反応とか（笑）
そういうのって全部、地元ならではの光景だとも思うし。

ということは、これからも色んなところに…

もちろん行きたいと思っています。僕、全都道府県ライブが夢なんですよ（笑）