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舞台『罪と罰』より三浦春馬にインタビュー

ロシアの文豪ドストエフスキーの傑作長編小説を英国人演出家フィリップ・ブリーン氏が舞台化した『罪と罰』。本作は、“正義”のためなら人を殺す権利があると考え、殺人を犯す主人公の心理描写を描くミステリーサスペンスを主軸に、若者の自分探し、当時のロシアの貧困生活、心の拠り所としての信仰や哲学的な問いかけ、愛といった多彩なテーマを持つ。主人公の青年・ラスコリニコフを演じるのは、フィリップ氏と2度目のタッグとなり「世界中どこを探しても彼の他には考えられない」と絶大な信頼を得ている三浦春馬さん。これから稽古に入るという本作への意気込みを語ってもらった。

この難作をどこまで掘り下げていけるか
フィリップの助言を受けながら期待に応えていきたい

―日本公演のために再構築され、「7年間、まるで心臓の鼓動のように私の中に生き続け、私が大事にしてきた戯曲」と語るほどフィリップ氏にとって思い入れのある本作で主演を務めますが、今の心境はいかがですか?
主演に指名してくださって、とても光栄です。稽古もこれからで作品自体まだ深くは読み解けていないと思うのですが、フィリップとは2作目になるので彼の演出を通して、この難作をどこまで掘り下げていけるか、信頼しているフィリップの助言を受けながら、期待に応えていきたいなと思います。

―当時のロシアの生活状況をはじめ数々の普遍的なテーマに触れながら、殺人者の倒錯した精神に入り込んだ心理描写など読み応え満載の原作をどう舞台化されるのかが注目されますね。
誰かのその行動が善か悪かなんてわからない。その人にとって善でも他者から見ると悪かもしれない。フィリップは、この作品のどちらともとれるその考え方に魅了され続けて、7年間も構想していたんだろうなと感じましたし、お客様に分かりやすく楽しんでもらえるような舞台になっていくと思います。原作を読んで「ここは舞台でどうやって表現するんだろう」と思ったシーンをフィリップに質問したのですが、「まだそこは教えられない」と言っていました(笑)。なので、僕も楽しみにしています。

―今回演じられる主人公の青年・ラスコリニコフは、“正義”のためなら人を殺す権利があると考え、殺人を犯してしまうも、その後罪悪感に苦しむという難しい役どころですが。
自分と重ねるところがないので正直難しくて、これから近しい部分を見つけていく作業になると思います。行動にはもちろん共感できませんが、次に何をすべきか考えているときの慌てる様子や、大切な存在として妹を守りたい兄の気持ちなど、人間らしい感情や行動も散りばめられているので、そこにどう自分の気持ちを近づけていくか。稽古でアイディアをもらいながら、いろんなアプローチをしていきたいです。彼(主人公)を信じられないなと思いつつも、どこか憎めない、彼の更生を観客が望んでしまうようなキャラクターにしたいと思っています。

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―主人公の心情描写の移り変わりを通して、観る人が自身と向き合い、改めて考えさせられる機会になりそうですね。
そうですね。この作品を通して「何を届けられるだろう」と考えても、その答えは簡単に出てこなくて。「青年が犯してしまった罪、青年の正義とは何なのかというところで周りの登場人物たちも巻き込みながら、その赦しはどこにあるのか、どこに救いを見出だしていくのかを見届けてほしい」という思いはありつつ、それが伝えたいことかと問われるとそうではない気もしていて。以前、フィリップと一緒にやった「地獄のオルフェウス」で、稽古場では感じなかった感情や躍動感、心境が変わるポイントの気づきなど、本番にお客様の力を借りながら発見することが多かったんです。なので、事前のワークショップや稽古でそのヒントを掴みながら、僕自身も本番を通して考えたいなと思います。