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映画『ビブリア古書堂の事件手帖』より黒木華、三島有紀子監督にインタビュー

鎌倉の片隅にある古書堂の店主・篠川栞子(しおりこ)が古書にまつわる数々の謎と秘密を解き明かす“古書探偵ミステリー”として人気を博し、コミック化され、すでに劇場アニメ化も決定している三上延(えん)のベストセラー小説「ビブリア古書堂の事件手帖」。社会現象をも巻き起こした本作が、黒木華さん、野村周平さんを主演に迎え映画化。「本に愛情がある人が撮るべき映画なので自分が撮れたのは光栄」と自負するほど文学好きの三島有紀子監督と、極度の人見知りながらも本のことになると人一倍の情熱と知識を持つ栞子を見事に体現した黒木さんに本作への想いを語ってもらった。

—神戸を中心に関西でロケが行われた映画『繕い裁つ人』に続く2度目のタッグ。黒木さんの本を読む姿が美しく、音読した時の声が耳に心地良いところがキャスティングの大きな決め手になったとか。
監督 本を読む姿勢や本を手にする時の仕草などで、本に対する愛情がみえますよね。本を手にする時もバレエのように指先がスッと綺麗でね。
黒木 私は、栞子のそういう仕草や佇まいが(野村周平演じる)大輔にとってグッとくるポイントの1つになるんじゃないかなと思ったので、そこは意識しながら演じていました。
監督 私としては、大輔が初めてビブリア古書堂に来た時の、栞子のなびく髪の毛、寝顔が見えるシーンで、すでにグッときていました。

—役柄について事前に話し合いなどはありましたか?
監督 以前ご一緒したこともあり信頼しているので、ちょっと足したり引いたりするくらいでしたね。
黒木 普段の栞子は、癖で頭を掻いたりぼそぼそとした喋り方なんですけど、本や興味のあることになると生き生きと話し始めるというメリハリをつけたいねとは、監督と事前に相談していました。監督は「私が演じる栞子」として見てくださっていたので、安心して演じることができました。

—物語の秘密の鍵を握る夏目漱石の「それから」と太宰治の「晩年」。2冊の本が繋ぐ、現代の栞子(黒木華)と大輔(野村周平)、大輔の祖母の若き日を描いた過去の絹子(夏帆)と嘉雄(よしお/東出昌大)との恋愛にも注目したいですね。
黒木 夏帆さん、東出さんが登場する過去パートは撮影が別だったので、実際に映像が繋がったのを観て「こういう風に過去と現在が繋がるんだ」「劇中で私が手にする写真はこんな風に撮られていたんだな」と思いました。過去パートのちょっと大人な恋と、現代パートのピュアな恋愛の対比も面白いです。夏帆さんが振り向いて「いらっしゃい」と東出さんに声をかけるシーンがすごく好きで、そこから物語が始まっていく感じがいいですね。お2人が本を渡し合うシーンも本当に色っぽくて素敵でした。
監督 栞子の本を手に取る仕草もそうですが、嘉雄が絹子に本を手渡す時、回数を重ねるごとにだんだん離せなくなって、一緒に本を持っている時間が微妙に長くなっていくんです。そういった細かい仕草でいろんな想いが表現できればいいなと思っていました。現代と過去それぞれで、向き合っている、横に並んでいるなど2人の立ち方や距離感にも変化をつけています。皆がその時代にちゃんと存在して生きているように魅力的に撮りたくて、登場人物一人ひとりに恋をしながら撮っていました。クランクアップの時に「もう二度と栞子に会えない」と思うと寂しくて、「この恋が終わってしまうんだ」という気持ちで本当に悲しかったです。

栞子にしてあげたいことを大輔の行動に托した

—栞子についてはどんなところに恋をしていたのですか?
監督 栞子は本に関しては知識量が多く、洞察力、想像力も素晴らしいんですが、本以外のことになると非常に欠落している部分があって。本を通してなら人の想いも感じ取れるのに、本がなかったらどうしようもないくらい周りが見えていないんですよね。そこが可愛くて、「栞子に何をしてあげたら喜ばせられるだろうか」というのを常に考えていました。脚本ではあくまで想像なので、実際に黒木華さんが栞子を体現してくれているのを見て、「この後何を食べるんだろう」「子どもの頃、おじいちゃんとどういう会話をしたんだろう」とか何気ないことを考えながら栞子の横顔をじっと見ていました。そして、その“してあげたいこと”を大輔の行動に托したという感じです。栞子が1人では絶対に行かないであろう高台に大輔が連れて行ってあげたシーンもその1つですね。

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