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映画『焼肉ドラゴン』より大谷亮平にインタビュー

韓国で数々の演劇賞を受賞した話題の舞台を、日本で映画化した『焼肉ドラゴン』が6月22日より公開される。演劇の演出家、映画脚本家として知られる鄭義信(チョン ウィシン)さんが“還暦の新人監督”として初めてメガホンを取った作品。高度経済成長期の大阪を舞台に、人々が浮かれた日常を送る日本の片隅で、故郷を失い世間から偏見や差別を受けながらも、強くたくましく生きる在日家族の絆を描く。一家が営む小さな焼肉屋「焼肉ドラゴン」に押し寄せる大きな時代の波、そして人々の決断とは―。家族や故郷が色濃く投影された今作で、三女の美花(桜庭ななみ)と不倫関係を続ける長谷川を演じたのは、舞台と同じく大阪出身の大谷亮平さん。“ちょっと情けない男”でありながら実は“芯の強い熱い男”を演じ切った大谷さんに、日韓合作となる今作への想いや見どころを聞いた。

「明日も頑張ろう」という
想いが詰まった“ホルモン”

—2008年に日韓合作で製作され演劇賞を総なめにした“伝説”の舞台を映画化した注目作ですが、オファーを受けられた時の心境を教えてください。
僕は韓国でモデルや俳優活動を長く行っていたので、今作で声を掛けていただいた時は「どんな役でもいいからやらせてほしい!」と心底思いました。今回は在日の家族の物語ですが、やはり韓国に関係している作品となると気になります。日本ではこういう作品はまだまだ少ないですし、関わらせていただけることが嬉しかったです。でも蓋を開けてみると、僕の役は韓国語が全く喋れない日本人の役で(笑)。在日や韓国語をベラベラ喋る役を想定していたので意表を突かれたような感じでしたね。

大谷亮平2

—家族6人が時代の波に翻弄されながらも、力強く生きる姿がユーモアに満ちた描写や印象的なセリフで描かれていますが、特に注目してほしいポイントは?
監督が今作のテーマに掲げていたことでもありますが、お父さん(龍吉/キム・サンホ)の口癖である「たとえ昨日がどんなでも、明日はきっとえぇ日になる」というところですね。実際に意味が掛かっているのかはわからないのですが、韓国ではホルモンって「明日も頑張ろう」という想いが詰まった食べ物らしいんですよ。ホルモンを食べながら一杯ひっかけて、皆で語り合うみたいな。この映画にもそのような想いが込められていますし、明日を生きるエネルギーが詰まった映画なので、見ていただく皆さんにも何かを感じてもらえると思います。

—大谷さんは、桜庭ななみさん演じる三女・美花と不倫関係にある長谷川を演じられていますが、これまでの大谷さんのスマートなイメージを覆すような役柄で驚きました。複雑な社会問題を背景にしたシリアスな場面が多い中で、クスッと笑いをもたらしてくれる役どころですね。
僕も、まさか髪をビシッと固めたポマードの役とは思いませんでした(笑)。ナイトクラブで、美花と妻の美根子(根岸季衣)が乱闘する中、長谷川がしれっと曲紹介をする場面があるんですが、実は台本にはなかったシーンなんです。急遽、現場で紙に書かれたセリフを渡されて「はい、やって!」と。僕の中にある、当時の大阪人のイメージを即引っ張り出して演じました。「大阪人で助かった」と思えた瞬間でしたね(笑)。