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映画『孤狼の血』より中村倫也にインタビュー

―今回演じられた永川は、セリフより行動で表現することが多い役柄で、殺気立った目がすごく印象的でした。
白石さんは永川という人物を丁寧に切り取ってくださいました。登場シーンも台本は「暴れて」とだけ書いてあって、その暴れ具合とかディテールを現場で話し合っている時に「ここで耳を食いちぎって『まずい耳じゃのー』って言ってみて」と言われて(笑)。勝矢さん演じる苗代は“関取”と呼ばれていたので「アクションに突っ張りを入れてみよう」とか、遊び心を足して人物を膨らますのは白石組ならではだなと思いました。こっちも白石さんをニヤッとさせるようなことを提案して、お互いニヤニヤしながらやっていました。台本の時点で十分骨太なんですけど、それだけにさせないというか。ちゃんとエンターテインメントとしてより面白くなるような提案をしてくれるので、そのエッセンスを楽しみながら演じていました。暴力満載の男くさい作品ですけど、現場では「ここまでやっちゃう?」って笑いながら役者もスタッフも和やかな雰囲気で撮影していましたね。

―広島が舞台になっている本作、全編で広島弁の怒号が飛び交っており、かなりの迫力でした。
僕はあまり喋らない役だったので方言の面で特に苦労はなかったのですが、それぞれの役柄の特徴や個性を大事にしながら、方言指導の方が教えてくださいました。襲撃の時に発する言葉にならない叫びも、「永川だったらこういうニュアンスかな」など細かくディスカッションしながら作ることができました。

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―改めて、完成した作品を観ていかがでしたか?
まず思ったのは、『仁義なき戦い』とか東映が昔からやってきたような作品を久々にやるぞという中で、そこに白石さんらしさが加わった作品になっていて嬉しかったです。台本を見て展開が分かっているので、初見というか一観客とは違う目線になってしまうんですけど、「やりすぎだろ」って初っ端からもう笑うしかない感じで、基本は笑いながら見ていました。あとは、とにかく先輩方がかっこよくて素敵で、地に足のついた見応えある作品だなと。あと、やくざと警察がこれだけ出てくる中で、(中村)獅童さんが新聞記者の役で登場した時は「新聞記者が一番悪そうじゃん!」って爆笑しました(笑)。獅童さんを新聞記者というポジションに持っていくところがさすがですよね。

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―一般的に男性向けの作品に捉えられるかと思いますが、女性にはどんな風に楽しんでもらいたいですか?
現実でもフィクションでもあまり見ない人たちが並んでいるので、女性も楽しんでもらえると思います。これは男の願望かもしれませんが、命をかけて必死でやっている男たちはかっこよくあってほしいし、そう思ってほしい。「この国には牙のない男が増えすぎた」というキャッチコピーがついていますが、「自分の掲げた夢や理想に向かってあがいて命がけで生きるのが男ってものだ!」ということが描かれています。「何に命かけてるの?」ってそれを可愛いと思うのか、バカだなと思うのかは分からないですが、男のやりすぎってどこか滑稽なので笑ってもらえると思います。人間はみんな愚かなので、そういうことも含めて愛でてもらえれば嬉しいです。日本映画としてもこういうテイストの作品は久しく無かったはずですし、牙のない現代人にもカルチャーショックというか、何かを感じて、シビレてほしいですね。全編を通して昭和後期のアウトローな世界に生きる男たちが映し出されているので、動物園に行っている感覚で楽しんでもらえると思います(笑)。見終わった後に「あいつ腹立つわ」「あの人かっこよかったね」って感想を言い合ってもらいたいです。