古川雄輝サムネ

映画『風の色』古川雄輝にインタビュー

流氷の北海道・知床と桜舞い散る東京を舞台に、『猟奇的な彼女』『ラブストーリー』のクァク・ジェヨン監督が手掛けた日韓合作『風の色』。中国版ツイッター「Weibo(ウェイボー)」で158万人を超えるフォロワー数を誇るなど、日本だけでなくアジア圏で人気を博す古川雄輝さんと、公募オーディションで約1万人の中から選ばれたヒロイン・藤井武美さんがそれぞれ一人二役で演じ、2組の男女が繰り広げる幻想的かつミステリアスな愛の物語が描かれている。監督自ら「自分史上、最高のラブストーリー。生まれ変われるなら、こんな恋がしたい」と言い切るほど自信作となった本作。その見所や、今までで一番過酷だったという撮影について、古川さんに伺った。

―撮影前に台本を読まれた時と、出来あがったものを観た時では、作品の印象は違いましたか?
印象は全然違いますね。というのも、台本を読んだ時は一人二役って難しいのかなとか、マジックのシーンがいっぱいあるけど具体的にどういったことをするのかなとか、イメージしにくい部分がたくさんありました。その上、今回の撮影の仕方が独特だったり、脚本にないことを本番でいろいろやったりしたので結構印象も変わりましたね。この作品では、北海道の綺麗な景色も見所のひとつなんですけど、本を読んでいる時点ではなかなかその情景も浮かびにくいですしね。

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文化の違いでセリフにも差が出る
少しでも日本寄りにしたいなと

―脚本から特に大きく変えたシーンを挙げると?
ほとんど全部ですね。韓国の方が脚本を書いて訳している日韓合作の作品なので、文化の違いでセリフにも差が出るんです。それを少しでも日本寄りにしたいなというのがあったので、僕からもたくさん提案させていただきました。例えば「僕は彼女を愛しています」ってセリフがあって、このセリフは結局そのまま使われたんですけど、日本人って「愛しています」ってあまり言わないですよね。「僕は彼女が好きです」の方が自然。それを英語に直訳すると「I like her」だけど、外国で使う時は「I like her」ではなく「I love you」というように、同じ意味合いでも実際に使う時はそれぞれの国によって違いがあって、韓国語から日本語にそのまま訳すと表現としてちょっと強かったりするんです。この作品には、そういった表現が強めに見えるところも多々あるので、いろんなシーンで外国的感性で作られたんだなと感じられると思います。愛の描かれ方や映画のテイスト的にはやっぱり韓国寄りなので、邦画じゃなくて洋画だと思って観てほしいですね。この映画を韓国で上映した時と日本で上映した時、また別の国で上映した時ではお客さんの反応も違ってくるんじゃないかなと思います。

―日韓合作ということで、はじめから意見を出し合いながら作るという流れがあったのでしょうか?
いえ、やっていく中でそうせざるを得なかった感じですね。いつもはあんまり脚本に口を出すということはしないんですけど、日本人的な感覚は監督や韓国人スタッフには分からないし、韓国人の感覚は我々には分からないので意見交換をしながら進めていきました。あと、このシーンはやっぱりキスしようとか、泣こうとか監督が思いつきで撮られる方だったので、セリフも脚本から変わってきますし、途中から台本は全然意識していなかったですね。

―撮り方も独特だったというお話がありましたが、それは文化の違いと同じように監督が韓国の方だったからでしょうか?
いつもの映画の撮り方とは違いましたけど、それが監督が韓国人だからなのか、クァク・ジェヨン監督だったからなのかは分からないですね(笑)。撮影中に韓国ならではだなと思ったのは、上下関係が日本より厳しいこと。目上の人とお酒を飲む時は、顔を少し横に向けて左手で少しグラスを隠しながら飲むとかいろいろマナーがあって。撮影中にカメラアシスタントの方に話しかけたら、主演がアシスタントに話しかけることは韓国ではないと言っていましたし、それだけ上下関係に厳しいんだなと思いました。クァク監督ならではでいうと、撮影内容を直前に知ることが多かったことですね。マジックのシーンも20分前に練習してすぐ本番を撮ったり、お芝居もやっぱりこうしようというように直前で変更することが多かったので、それは韓国式というよりもクァク監督式なのかなと思います。あと、監督は演者との食事を大切にしてらっしゃって、僕と藤井(武美)さんと監督と通訳さんの4人で毎日必ずご飯を一緒に食べていました。はじめは、作品について疑問があったら食事の時に聞いていたんですけど、撮影内容がだんだん直前にならないと分からない状態になっていったので(笑)、食事中はお互いの国のことなど何気ない日常会話をしていましたね。

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今までやってきた作品の中でも
この辛さを超えるものはない

―今回の撮影は今までで一番過酷だったとか?
今までやってきた作品の中でもこの辛さを超えるものはないですね。氷水のシーンも1回ではなく何回も撮り直しますし、本当に一番辛かったです。脱出マジックのシーンは、実際に鎖を体に巻いて水に入って、息が切れるギリギリまで潜っては出てというのを一日中繰り返していました。水深5メートルのプールで撮影したんですけど、手違いで温水のはずが冷水で用意されていて…低体温症と酸欠で倒れて撮影を中断したり、撮影後も体調を崩してしまったりと大変でした。

―寒い中での撮影も大変だったかと思いますが、本作には北海道ならではの美しい冬景色がたくさん出てきますよね。
たくさんありますが、中でも流氷はとても綺麗でしたね。ドローンで撮影したんですけど、映像でもその凄さが伝わるくらい綺麗に撮れています。海を眺めているシーンもすごく綺麗で、海面に雪がかぶっていて波が動く時にまるで雪が動いているように見えるんです。北海道の景色は日本人からしてもこんなに綺麗なんだって感動するくらい素晴らしいですね。